開催報告
開催から時間がたっていますが、日本環境化学会・質量分析インフォマティクス研究会共催「環境化学を加速する質量分析インフォマティクス」開催の報告をいたします。
本ワークショップは第27回環境化学討論会の翌日2018年5月25日に、沖縄県市町村自治会館4F第6会議室において、本会と日本環境化学会との共催で開催されました。他の団体との共催でのワークショップ開催は今回が初となります。
今回のワークショップは、日本環境化学会及び日本バイオインフォマティクス学会からサポートを受けて開催することができました。
ワークショップの告知:
今までと同様、以下の学会・団体に広告を掲載していただきました。有り難うございます。
- 日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)
- 日本質量分析学会(MSSJ)
- 日本プロテオーム学会(JPrOS/JHUPO)
- 情報処理学会(SIG-BIO)
- 日本分子生物学会
- 日本生化学会
- 日本生物物理学会
- jPOST
- 糖鎖インフォマティクス若手の会
- サイエンスポータル
- 文部科学省・ライフサイエンスの広場
- バイオインダストリー協会
- ESI友の会
- メタボローム・シンポジウム若手の会(メーリングリスト)
- Mass++ユーザー会
参加者について:
当日は61名の参加があり会場がほぼ埋まるほどの参加者となり、環境化学の分野における質量分析インフォマティクスの注目の高さが伺えました。
多くは環境分析の研究に関わる大学や研究所の方でしたが、分析装置や分析業関連の企業の方にも多数参加していただけました。参加者の多くは環境化学討論会の参加者でしたが、本ワークショップのために那覇に来られた方もいらっしゃいました。
殆どの参加者の方は質量分析のバックグラウンドはある一方で、インフォマティクス系の研究会・ワークショップにはあまり来られない方々のようで、「質量分析インフォマティクスを広める」ということを目標としている本研究会としては、環境化学討論会のサテライトワークショップとして開催した効果はあったようです。
講演と総合討論について:
ワークショップでは8名の演者による環境化学と質量分析インフォマティクス両分野の講演の後、パネルディスカッションを行われました。
講演は前半が環境化学、後半が質量分析インフォマティクスにフォーカスした内容となる構成としました。
前半の環境化学パートでは橋本俊次先生(国立環境研究所)と山本敦史先生からは(鳥取環境大学)どちらも「ノンターゲット」というキーワードが 入っている講演をしていただき、環境分析でのノンターゲット分析の有効性と同時に難しさや今後の課題をお話ししていただきました。
それに続くインフォマティクスパートでは化合物構造推定、プロテオミクス、データベース、データビューアとバラエティに富むものになりました。
講演後のパネルディスカッションでは「どのようなインフォマティクスソリューションが環境化学に求められているのか」「環境化学のブレイクスルーに質量分析インフォマティクスがどう関われるか」 をテーマとして、講演者をパネラーとして参加者との間で意見交換が行われました。
「環境化学研究においてどのような解析ツールが使われているか」「自分の仕事にインフォマティクスをどうやって使えばいいのか」「ツールをどうやって探せばいいのか」などの実用的な話題の他、「現在のインフォマティクスを用いた解析で得られる結果の信頼性」など今後の質量分析インフォマティクスの課題となっているトピックも議論されました。全体の印象として、参加者の多くは環境化学の研究者であり、インフォマティクスに関しては重要性は認識していている一方で自分の研究に具体的にどう取り入れるかという段階で難しさを感じている方が多い様子でした。環境化学研究者がインフォマティクスを取り入れる一方で、ツール・アルゴリズム開発者がユーザーに積極的に届けるという努力が双方に必要であるという議論が行われました。
最後に、本共催ワークショップの開催にご尽力いただいた橋本俊次先生をはじめ準備と開催にご協力いただいた環境化学討論会事務局の皆様に深く感謝申し上げます。
世話人: 早川 英介 (沖縄科学技術大学院大学)